さくま書店
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ご挨拶
これまでの複製本や図録などを主に扱ってきました。長い間に本格的な和漢の古書も倉庫の片隅にわずかながら積み上がっております。
この道半世紀になりますが、古典籍の商いは駆け出しです。よろしくお引き立て願います。
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(版本1)為家集の元禄7年刊本
為家集 袋綴じ8冊 元禄7年(1694)刊
38,500円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色無地紙表紙(22・7×16・1センチ)押し発装あり。刷り外題「為家集 一春(~八 二百首)」、内題「為家集 上春」。本文4周単辺(17・4×12・5センチ)1面10行。版心「為家集 上 春部一 (丁付)」。最終冊末尾に「此集以正本令書写之再校畢」の元奥書と「元禄七歳甲戌初夏吉日/京都三条通升屋町/出雲寺泉掾」の刊記。
為家集上下1201首を8冊に仕立て、上(1~4巻)下(5~8巻)とする。刷り良好で元題簽元表紙。少虫損があるが、ほぼすべて繕い済み。
〇為家集の基本資料です。虫損はほぼ繕い済みですが、お安く出します。
(版本2)懐風藻
『懐風藻』版本袋綴1冊
33、000円(税込、送料は実費を頂戴します)
墨色無地紙表紙(26・1×18・0㎝)に「本朝 懐風詩集」の刷外題。「本朝古賢名選 懐風詩集 書肆演古堂寿梓」の黄色地見返し。末尾に阮秋成の跋と「寺町本能寺前 皇都 銭屋惣四郎」の刊記がある。
〇天平勝宝3年(751)11月撰にかかる最古の漢詩集。近江朝以来の詩人64名を収め、それぞれに略伝がつけられており、これによって判明する事実が多くあります。
(版本3)総理旧蔵の漢籍
『列子箋釈』版本 袋綴1冊 犬養毅旧蔵 嘉慶甲子(1805)刊
88,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
(形態)薄茶色紙表紙に外題墨書。表紙寸法縦28.2、横17
.2センチ。封面「嘉慶甲子・・・列子箋釈 姑蘇聚文堂蔵板」。巻首に「犬養氏図書」・「深津胤房」等の朱印を押す。白綿紙刷り、目録第2丁を第1丁の前に綴じるが、内容に欠脱はない。内題「沖虚至徳真経第一 列子 張湛処度註」。黒口1面11行21字、初めの数丁に朱の句読がある。保存良好。
〇杞憂、朝三暮四、愚公移山などの故事で知られた『列子』の注釈書。清虚無為を説く古典です。もとの持ち主は木堂と号した犬養毅(1855-1932)。5・15事件で暗殺された内閣総理大臣です。悲劇の首相は、どのような思いでこの古典を読んでいたのでしょうか。ちなみに深津胤房氏は武蔵大学教授で、漢文学の専門家でした。
(版本4)寛永8年版の大広益会玉篇
大広益会玉篇 袋綴じ7冊 帙入り 寛永8年(1631)刊
99,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
焦げ茶色無地紙表紙(28・3×19・0センチ)は後補、外題なし。本文4周双辺(22・2×15・7センチ)有界8行、全30巻を7冊に仕立てる。第1冊巻頭に大中祥符6年(1013)陳彭年序、第7冊末尾に「寛永八年辛未 季秋吉旦新刊」の刊記。
玉篇の最終発展形態でよく利用され、倭玉篇の基となった。版面は慶長元和の風体が感じられ力強い。刷りは極めて良好、料紙も上質。わずかに虫損がある。
〇立派な本です。後補の表紙と小虫損を考慮して、お値打ちに出します.
(版本5)寛永18年版和漢朗詠集
和漢朗詠集 袋綴じ2冊 寛永18年(1641)田原仁左衛門刊
15,400円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色地に牡丹唐草と紗綾形文を艶刷りした紙表紙(22・9×19・4センチ)刷り外題は上冊のみ残り「和漢朗詠集 上」と刷る。本文に匡郭なく、1面6行の大字で、和歌は漢詩1行分の幅に2行を記す。振り仮名や訓点を付刻していない。墨付上冊44丁、下冊48丁。下冊最終丁裏に「寛永十八暦三月吉旦 二条通靏屋町 田原仁左衛門」の刊記がある。各冊巻頭に「奥野万/冊本願/之蔵書」の印を押す。微細な虫損あり。
本文に細かい異同もあるが、仏名396の次に「としのうちにつくれるつみは」、庚申652の次に「いかになをひとにもとはむ」を持ち、通行本とは差があるのが特色であろう。旧蔵者の奥野彦六氏(1895~1974)は法律家で東京弁護士会の会長を務めた。古版本研究の先駆者でもある
〇大字の寛永版本です。奥野氏の「万冊本願」は達成されたのでしょうか。
(版本6)アルファベット削除の音訓国字格
音訓国字格 袋綴じ1冊 文政8年(1825)刊
3,300円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色布目紙表紙(23・9×16・0センチ)外題剥離して欠。見返しに「高蘭山先生著/音訓国字格/わが朝のいろは仮名が(以下略)」と刻す。本文4周双辺(17・4×13・0センチ)有界11行。巻頭に寛政11年(1797)序2丁、墨付き全35丁。版心「音訓上(下)(丁付)星運堂」。上下2冊を後に合冊したのではなく、出版当初から1冊に製本されたものであろう。後見返しに「文政八年乙酉・・・山城屋佐兵衛」の刊記。冒頭に僅かの虫損があるが繕い済み。刷り良好。
平仮名以下各種の文字とその読みを掲げ、訓の区別を示した語学書で、これまであまり大きく取り上げられることはなかったが、なかなか興味深い記述もある。各種の文字を掲出した箇所に片仮名の起源を白抜きで示したり、和蘭(ヲランダ)文字が空欄ととなっていて、「和蘭ノ文字障有テ削之」と説明する。本文中のアルファベットも削られており、出版史上のおもしろい例であろう。
〇ハングルや梵字まで取り上げて説明しております。アルファベットを削除した理由が知りたいところです。
(版本7)銅版豆本の水滸伝
通俗水滸伝 袋綴じ1冊 明治19年(1886)刊
9,900円(税込、送料は実費を頂戴します)(形態)朱色布目紙表紙(11・9×8・4センチ)刷り外題「絵本 通俗水滸伝 吉田嘉雄編輯 全」。見返しに「絵本通俗水滸伝 全」の題と「金寿堂梓」その他の文言を印刷。後見返しに「明治十九年六月三日御届」と吉田嘉雄、牧金之助の刊記。見開きパノラマ絵が2ヵ所にあるのは稀。銅版はきわめて精緻、保存良好。
〇細密な彫版には感心します。出来の良い豆本です。
(版本8)古活字版の夢中問答集
夢中問答集 上中(下欠) 袋綴じ2冊 森銑三筆の題簽付き帙入り 元和寛永頃刊
187,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色無地紙表紙(27・4×19・5センチ)後補の題簽に子持ち枠を引き「夢中問答集 上(中)」と墨書。本文4周双辺(22・5×16・5センチ)1面12行24字程度、版心「問答上(中) (丁付)」。ただし上巻第1丁は「答問」となっており、古活字印刷の問題として面白い。墨付き上巻49丁、中巻53丁。中巻の最終丁は「五十四」の丁付けとなっており、第4丁が落ちている。川瀬一馬「増補 古活字版之研究」によれば元和寛永中の第4種であり、古活字版には幾種かの版があるが、いずれも希少。小虫損あり。
夢窓国師(1275~1351)と足利直義(1306~1352)のやりとりを記録したもの。各冊巻頭に2個の蔵書印が押され、1個は「善徳寺什」であり、もう1個は不鮮明であるが「城端御坊」か。帙には森銑三の筆で「夢中問答集 寛永中刊 古活字版 欠二冊」「夢中問答」と書かれており、月明荘の印はないが反町弘文荘を経たものであろう。
〇中巻の1丁欠と小虫損を考慮して、値を押さえました。森銑三の筆跡は気品があって好ましいものです。
(版本9)寛文版頼政集
源三位頼政家集 袋綴じ2冊 帙入り 寛文元年(1661)林和泉掾刊
44,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色無地紙表紙(22・5×15・6センチ)刷り外題「源三位頼政家集 上(下)」、内題同じ。本文4周単辺(16・7×11・6センチ)1面11行、版心「上 一(~三十終)」「下 一(~四十三)」。下冊末に永享3年惟肖、延徳3年紹永、明応2年敬教らの本奥書があり、次に頼政の略伝と系図、元暦元年権少将、元亀2年の本奥書。刊記「寛文元辛丑年臘月吉祥日 林和泉掾板行」。虫損なく保存良好。
〇元表紙元外題のいい本です。古風な帙入り。
(版本10)野田庄右衛門版聖徳太子伝暦
聖徳太子伝暦 袋綴じ1冊 寛永5年(1628)野田庄右衛門刊
55,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
後補の薄茶色無地紙表紙(26,5×19,1センチ)に刷り外題を模した子持枠題簽を貼り「太子伝暦 上」と墨書。上41丁、下35丁を合綴し、欠けはない。本文4周双辺(23,0×17,1センチ)有界8行。漢字に多くの振り仮名を付ける。内題「聖徳太子伝暦 一巻上 分成上下 平氏撰」。最終丁裏に「寛永五年八月日 野田庄右衛門」の刊記。小虫損あり。
〇聖徳太子の伝記中最も広く読まれ重要度の高い書物。大字の版面が寛永版らしい風格を備えています。
(版本11)八代集抄 古今集 奥田常勝旧蔵
八代集抄 古今集 袋綴じ8冊 奥田常勝旧蔵
7,700円(税込、送料は実費を頂戴します)
薄茶色布目地に藍色花模様紙表紙(22・3×15・5センチ)淡黄色題簽に「八代集抄 古今序(~古今大哥所御歌)」と刷る。本文4周単辺(17・9×12・9センチ)1面10行、頭注傍注が多い。各冊巻頭に「芽垣内蔵書」の大型朱印あり。尾張の国学者奥田常勝の旧蔵。わずかに虫損。
真名序には「尊円筆」本との校合があり、定家本とはかなり異なっている。八代集全体に注を付け、広く典籍を見渡しており、基本資料としての価値を失わない。
〇わずかに虫損がありますので、お値打ちにご提供。
(版本12)和漢稀世古銭図録
和漢稀世古銭図録 袋綴じ2冊 安政6年(1859)刊、明治34年求版
6,600円(税込、送料は実費を頂戴します)
薄藍色地に古銭の模様を型押しした趣味性の高い紙表紙(23・3×15・8センチ)刷り外題「和漢稀世 古銭図録 乾(坤)」。見返しに古銭の図を色刷りし「積古斎泉寿輯 藍外堂梓」と刻す。内題「和漢稀世泉譜」(乾)、「和漢稀世泉譜追選図録」(坤)。序文2丁、本文は4周単辺(19・3×13・4センチ)内に拓影と説明を刷る。丁付けに「十二ノ十四」のような飛び丁があり、乾23丁、坤28丁。乾冊に小虫損があるがほぼ繕い済み。
〇飛び丁(落丁ではありません)が書誌学的におもしろいと思います。
(版本13)李朝木活字版の帯方言行録
帯方世家言行録 大型袋綴じ3冊 崇禎273年跋
88,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
黄色地に卍繋ぎ艶刷りの紙表紙(31・0×21・1センチ)墨書外題「帯方言行録 天(~人)」。本文4周単辺(21・7×16・5センチ)有界10行20字の木活字印刷。内題「帯方世家言行録 巻之一(~続編)」、版心は花口魚尾に「帯方言行録 巻一」。尹臨以下の名臣の事績を記録したもので尹行任の撰、尹秉綬の跋。厚手の光沢ある楮紙に刷り、保存良好。正編6巻、附録1巻、続編1巻を3冊に仕立てる。稀本。
〇立派な本です。李朝の活字本は金属活字も木活字も少なくなりました。
(版本14)表紙裏に反故のある韓千字文
韓千字文 袋綴じ1冊 萬暦25年(1597)書、道光27年(1847)刊
29、700円(税込、送料は実費を頂戴します)
黄色地に卍繋ぎ文様を型押しした紙表紙(26・8×17・1センチ)
墨書外題「韓千字文」、内題「千字文」。前後に新補の遊び紙1枚を置き、墨付き全17丁。書名は外題による。本文4周短辺(21・8×17・1センチ)を上下2段に区切り、下段に白抜きで行書の千字文、その脇に楷書、上段は篆書。版心は丁付のみ。末尾に「萬暦丁酉季秋石峰書 道光丁未仲春由洞重刊」と刻す。非常におもしろいのは、後ろ表紙にハングルの反故が使われていて、日本の古活字版と類似の表紙作りであること。(図版左側)本体の千字文も珍しい本であろうが、この反故は研究資料として有益。ハングルの内容は未考。高度な技術で全体を補修。表紙裏反故は裏打ちして別添。
〇表紙裏の反故も見所です。優れた補修技術のわりに廉価だと思います。
(版本15)書入れの多い顕密二教論
顕密二教論 袋綴じ2冊 幕末~明治刷り
7,700円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色無地紙表紙(26・2×18・5センチ)題簽に「改正 顕密二教論 上(下)」と刷る。内題「弁顕密二教論巻上 沙門空海撰」。本文1面6行17字、声点、返り点と片仮名訓点を付刻する。版心「二教論 四(五)」の数字は十巻章の編目に対応する。上25丁、下20丁、刊記なし。全巻に詳細な朱墨書入れと胡粉の塗抹あり。下巻末に「于明治十八年十一月十五日於豊山梅」の朱識語があり、刊行はそれ以前。各冊見返しに「豊山」の朱印を押す。後見返しに「師範余賜仏于慶寛」の墨書。わずかに虫損。版式から見て、古い高野版の版木を用いた後刷りであろう。
〇講義の聞き書きが基礎となっているらしく、熱心な研鑚がうかがわれます。
(版本16)絵入り徒然草
徒然草 袋綴じ2冊 元文2年(1737)刊
31,900円(税込み、送料は実費を頂戴します)
藍色地に瑞雲と霊亀(?)を艶刷りした紙表紙(26・5×19・1センチ)、ただし薄れて文様は確認しづらい。表紙中央に刷り外題を貼るが、上冊分は破損、下冊は「つれ\/草 下」と判読できる。本文4周単辺(20・9×16・2センチ)1面12行、版心「つ上(下) (丁付)」。西川祐信風の絵上冊5丁(10面)、下冊4丁(8面)。下冊末に「元文二年丁巳弥生吉日 京都寺町通松原下ル町 菊屋喜兵衛版」の刊記。表紙の疲れと本文の小虫損があるが、読むには差し支えない。
〇絵がおおらかで見ごたえがあります。眺めても読んでも面白い本です。
(版本17)三家筆法消息
三家筆法消息 袋綴じ3冊 元禄11年(1698)刊
33,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色無地紙表紙(26・7×19・0センチ)子持ち枠の刷り外題「近衛流消息 日」「定家流消息 月」「光悦流消息 星」。各冊冒頭に「近衛」「定家」「光悦」の標題あり。本文1面4行、新年の挨拶状から始まり、イロハと数字の書き方で終わる。版心文字なし。光悦流消息の末尾に前田図南の跋と「維時元禄十一戊寅年孟春日 御書物屋 出雲路和泉掾元房開版」の刊記。
近衛信尹(1565~1614)、藤原定家(1162~1241)、本阿弥光悦(1558~1637)の個性的な書風から生まれた近衛流・定家流・光悦流の書道資料。堂々とした版式で見ごたえ十分。近衛流32丁、定家流29丁、光悦流29丁。近衛流23丁表に「新後拾遺集之修復」と書かれているところが目を引く。表紙の擦れと光悦流筆法消息に僅かの虫損があるが、概ね保存良好。刷りは上々である。1冊ばらばらの本はたまに見かけることもあるが、3冊の揃いは非常に珍しい。公共機関で揃いを所蔵しているところは数館であろう。
〇迫力の版本です。揃い本が市場に出ることはめったにありません。1冊出てもかなり高価です。
(版本18)拾遺愚草・拾遺愚草員外
拾遺愚草・拾遺愚草員外 袋綴じ4冊 江戸時代前期刊
9,900円(税込み、送料は実費を頂戴します)
藍色布目紙表紙(25・6×18・4センチ)刷り外題「六家集 拾遺上(中、下)」「六家集 拾遺員外上下」。本文1面12行和歌1首1行。版心「捨上(中、下)(丁付)」。墨付上93丁、中30丁、下68丁、員外77丁。刊記なし。
拾遺愚草は藤原定家(1162~1241)の家集で、この本は六家集の内。冷泉家本とは別系統で、江戸時代の享受資料として重要。元題簽元表紙であるが刷り疲れとわずかの虫損あり。
〇拾遺愚草に員外を合わせてお出しします。刷り疲れが見られますのでお手頃の価格としました。
(版本19)寛永5年跋の翻訳名義集
翻訳名義集 袋綴じ7冊 寛永5年(1628)跋
17,600円(税込、送料は実費を頂戴します)
栗皮色無地紙表紙(28・1×19・7センチ)子持ち枠題簽は第1冊が落剥、他の6冊分は部分的に残る。第4・5冊分はほぼ完全。本文4周単辺(22・1×17・0センチ)有界6行。梵語を漢文で説明した辞書で、漢字表記の梵語は1文字約2センチ四方の見事な大きさ。第7冊最終丁に「夫翻訳名義集者姑蘇景徳寺普潤大師法雲之所編也」以下の跋文、年紀を「寛永五戊辰仲冬上旬」と刻す。巻頭に「今井氏蔵書」「奥野万冊本願之蔵書」の朱印、巻末に「明厳寺」の墨印。「奥野・・・」は弁護士で古版本の研究者でもあった奥野彦六氏の所用。元装元題簽ながら小虫損あり。
〇古活字版に基づく堂々の版本です。読むのにはまったく支障のない小虫損ですが、思い切って値を下げました。
(版本20)風雨天眼通
風雨天眼通 横本袋綴じ1冊 明治18年(1885)求版
3,300円(税込、送料は実費を頂戴します)
濃紺地に網目模様を艶刷りした紙表紙(11・2×15・9センチ)刷り外題「風雨天眼通 完」を貼る。巻頭に安永5年(1770)序、次いで方位図、虹霓論、三好清行秘伝など全19丁。版心は丁付けのみ。第18丁裏には破軍星を検出するための回転盤があり、書物として興味深い。後ろ見返しに「増補 易通商考」以下の出版広告と「明治十八年十二月求板 心斎橋通北久太郎町 大阪書肆 橋本徳兵衛」の刊記。虫損なし。伝本は割合少ない。
〇おもしろい占いの本です。これによると、辰年の釜鳴は吉だそうです。
(版本21)九想詩絵抄
九想詩絵抄 袋綴じ1冊 文化7年(1810)序 明治刷り
9,900円">(税込、送料は実費を頂戴します)
墨色地に花菱の艶刷り模様の紙表紙(22・6×15・6センチ)刷り外題「九想詩絵抄」。本文4周単辺(17・7×13・3センチ)、序と凡例各1丁。巻1は16丁、巻2~4は各12丁。4巻1冊は元の形。堀田連山の絵は精彩に富む。後ろ見返しに出版広告と「大日本真宗書籍発売元 京都東六条下数珠町東洞院 西村九郎衛門版元」の刊記。わずかに虫損あり。
〇蘇東坡の作と伝えられる詩の注解、研究書もいくつか出ています。
(版本22)元和卯月本 夜討曽我
元和卯月本 夜討曽我 列帖装1冊 元和6年(1620)跋
77,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
紺地に金銀泥による富士の裾野の下絵がある紙表紙(24・1×17・9センチ)刷り外題「夜討曽我」、押し発装あり。金霞引きの見返しの次に本文1面7行、節付や合点などを付刻する。墨付き全14丁。最終丁表に「右百番之本者・・・元和六年卯月日 観世左近大夫 暮閑(花押)」の跋を刷る。表紙に少しのスレと本文にわずかの虫損あり。
版本には珍しい列帖装で、厚手雲母引き鳥の子を用いた贅沢な謡本。堂々とした近衛流の書も見ごたえがある。観世流家元暮閑黒雪(1566~1626)の公認した本文で、以降の謡本の基礎となった。伝存希少。
〇写本に近づけようとしたのでしょうか、手間のかかった典籍です。
(版本23)翻訳の軍記
ワシントン軍記 第2編 袋綴じ2冊 慶応3年(1867)刊
9,900円(税込、送料は実費を頂戴します)(形態)藍色地に雷文と巻竜の艶刷り紙表紙(22・7×15・7センチ)に刷り外題「ワシントン軍記 二編上(下)」、角書「あめりか」。藍色見返しに「慶応二年開版 春日楼蔵板」等を刻す。本文4周単辺(18・4×12・5センチ)、1面10行。2編末尾に刊記「慶応三年孟春 発兌書林大和屋喜兵衛」。柳河春三の著述案内あり。幕末の出版ながら数は少ない。痛みなく刷りの良い美本。
〇洋学の鬼才柳河春三の関与した翻訳軍記。軍記としても珍しく、翻訳史や文学史の興味ある資料です。
(版本24)沢田東江の小倉百首
小倉百首 袋綴じ1冊 安永6年(1777)元奥書
8,800円(税込、送料は実費を頂戴します)
焦げ茶色地に紗綾形と瑞雲の艶刷り文様紙表紙(27・2×17・3センチ)題簽を貼り「小倉百首 東江先生書 完」と墨書。本文は墨色地(22・1×14・7センチ)に1面1首を白抜き草書で刷る。版心文字なし。墨付全54丁。
和歌を漢字草書体で揮毫した百人一首の変わり種。書き手の沢田東江(1732~1796)は唐様の書や篆刻、儒学にも秀でた書家。第51丁表に「安永六年二月二十五日書 源麟」の元奥書を刻しており、揮毫年月日が判明する。彫師は西玄玉。51丁裏に「明阿弥陀仏校 荷田御風閲」とあり、山岡明阿が最晩年に関与し荷田御風の数少ない仕事でもある。
〇いかにも唐様書家らしい柵です。割合珍しいと思います。
(版本25)高水準の注釈、中臣祓瑞穂鈔
中臣祓瑞穂鈔 袋綴じ2冊 寛文6年(1666)刊 7,700円 ">(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色無地紙表紙(26・5×17・6センチ)に刷り外題「中臣祓瑞穂鈔 坤」、元装元外題。上冊に「坤」の外題を貼り、下冊は外題剥離。本文4周双辺(19・5×14・6センチ)11行、漢字片仮名交じり。朱点、朱引きあり。下冊に「寛文六丙午仲秋吉辰」の大字刊記。その後に万治2年跋。虫損若干。中臣祓の実証的な注。
〇度会延佳のすぐれた著作。典拠を広く求め学術的価値が高い。延佳は神宮文庫の基礎を創った人物でもあります。虫損が少しありますので値を押さえました。
(版本26)元和頃刊の片仮名12行本平家物語
平家物語 巻1・3欠 袋綴じ10冊 元和頃刊
33,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
栗皮色無地紙表紙(27・4×20・0センチ)子持ち枠刷り題簽に「平家物語 巻二(十二)」と刷る。題簽は白の具引き加工らしい。元表紙元題簽であるが巻九は前表紙欠。本文4周双辺(22・8×16・9センチ)、漢字片仮名交じり1面12行25字。版心「平家巻第二(十二)」。刊記はないが尾題「平家物語灌頂巻 畢」とあり、「-終」とする本とは別版。巻1・3欠。
平家物語の片仮名整版本は元和9年杉田良庵玄与版が最初出刊と言われているが、杉田良庵は既存の刊本を再版することが多く、無刊記本が先行すると見られる。学習院大学日本語日本文学研究室本と同版であろう。表紙制作方法や題簽の書風から江戸時代初期のものと考えられる。刷りは上々だが、虫損若干。
〇堂々の版本で元装丁元題簽ですが、巻1・3を欠き虫損若干が惜しいところです。
(版本27)梅品
梅品 袋綴じ1冊 文化2年(1805)刊
27,500円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色布目紙表紙(15、5×11、0センチ)刷り外題「梅品」は左半分が欠損。本文4周単辺(12、3×7、7センチ)版心「梅品序」、「梅品上(下)(丁数)」。序・目録・総論の次に「白梅類」以下上巻42丁、下巻28丁、跋2丁を1冊に綴じる。末尾に浅井龍章堂蔵版書目6丁。原装。後見返しに刊記「文化乙丑年初冬求版 心斎橋通米屋町 大坂書林河内屋吉兵衛」。本草学者松岡玄達撰で梅の図録として最も著名なもの。わずかの虫損はほぼ繕い済み。墨1色の図が鮮明。
〇小本ながら力のある図録です。彩色版もありますが、それは後刷りです。
(版本28)大型刷り物、赤穂義士の図
赤穂義士の図(仮題) 大型刷り物1枚 明治20年(1887)頃刊
9,900円(税込、送料は実費を頂戴します)
薄く雲母を引いた奉書風の楮紙(77・2×32・2センチ)大判だが継ぎ目のない1枚仕立て。上部に明治元年(1868)11月の詔宣を隷書で記し、その下に四十七士の討ち入り姿を多色刷りで描く。尾形月耕(1858~1920)の署名と落款印がある。刊記なし。
月耕は明治20年頃に赤穂義士の絵をいくつか手掛けており、この絵も同じ時期のものであろう。伝本ごく稀。折り目に少し痛みがある他は、状態良好。
〇珍しい大判刷り物です。今年は赤穂義士が没して320年に当たります。
(版本29)絵入源氏物語 野分
絵入源氏物語 野分 袋綴じ1冊 江戸時代前期刊
8,800円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色無地紙表紙(27・5×18・2センチ)刷り外題「野わき 玉かつら并六 詞を名とせり」。本文匡郭なく、1面11行22字程度、漢字平仮名交じりで平仮名傍訓や句読点を付刻する。版心に文字なく、丁付けはノドの部部にある。墨付き全18丁、古賀な大和絵風の挿画2面。わずかに虫損あり。末尾に鼎形墨印「寛周」を押す。
源氏物語最初の絵入り刊本で、松永貞徳門下の蒔絵師山本春正(1610~1682)の刊行。絵も春正が手掛けたといわれる。絵入源氏の影響は大きく、明治時代以降にまで及ぶ。版心に丁付けがあるものとノドに丁付があるものの2種あり、後者に該当する。
○見て楽しく読んでおもしろい版本です。
(版本30)文政13年版の塵滴問答
塵滴問答 袋綴じ1冊 文政13年(1836)刊
2,750円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色無地紙表紙(18・3×13・9センチ)外題は剥離市で「ちんてき問答」と墨書。見返しは遠州善光寺門前の茶屋。本文4周単辺(15・9×11・4センチ)1面15行、各丁上部に絵あり。版心「ちん (丁付)」。後ろ見返しに刊記「于時文政十三歳宿庚寅季秋再刻 馬喰町弐丁目 東都書肆錦森堂 森屋治兵衛上梓」あり。
万物の始め以下多くの事象を仏教的に説明した教訓書。書名は、登場人物の妙塵坊と善滴による。版本は多いが、無刊記本が多く、文政13年版は少ない。刷り良好。
〇元の題簽が落ちておりますので、お安くします。
(写本1)囃子本
囃子本 横本1冊 江戸時代末期~明治写 6,600円(税込、送料は実費を頂戴します)
楮紙無地表紙(13・3×19・1センチ)を紙縒りで綴じる。墨書外題「囃子本」。巻頭に目録1丁、高砂より野々宮まで66曲を掲げる。本文墨付68丁。1面13行、詳細な節付あり。巻末に「和光利物」以下8行の朱墨書付を貼る。朱の書入れあり。保存良好。
〇薄葉鳥の子を使った写本です。詳細丁寧な書き方で、熱意と労力に感心します。
(写本2)列帖装の金剛界念誦次第
金剛界念誦次第 列帖装1冊 享保20年(1735)写
11,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
厚手楮打紙表紙(17・7×16・4センチ)墨書外題「金剛界念誦次第」、右下に「一ノ真乗院」の朱印と「光満」の署名。本文白界7行、漢字に片仮名訓と朱点を付す。密教儀式書には珍しい升型列帖装で、墨付64丁の厚冊。張り紙あり。末尾に「御本云、以遍智院御本書写了、為師入道賢実被草之云々、於旅宿交合末朱砂不随身之間落点等以墨加之了、弘長元年六月二日以報恩院御本書写之、金剛仏子俊ー」の本奥書と「享保廿乙卯五月十二日以真慧闍梨御本校合、真盛」の奥書。虫損が若干あるが読むにはほとんど差し支えない。醍醐寺の法流に属する伝書。
〇この種の仏書は多く粘葉装ですので、升型列帖装は珍しいでしょう。
(写本3)太田道灌仮託の随筆
我宿草 袋綴じ1冊 江戸時代中期写
7,700円(税込、送料は実費を頂戴します)
(形態)茶色無地紙表紙(23・3×16・6㎝)は元表紙が痛んだため新補、外題なし。内題「太田道灌自記」。本文1面9行、漢字平仮名交じり。墨による訂正あり。墨付15丁。末尾に「丁酉十二月廿八日君美識」と新井白石の本奥書があり、丁酉は享保2年(1717)。かなりの能書で丁寧に写す。我宿草は道灌に仮託した随筆で、随筆大成に翻字される。この本は大成と異同あり。小虫損があるがほぼ繕い済み。
(解説)なかなかの筆跡です。善本だと思います。
(写本4)栄花物語 歌合
栄花物語 歌合 列帖装1冊 帙入り 江戸時代前期写
132,000円(税込、送料は実費を頂戴します)(形態)本文共紙表紙(24・6×17・8センチ)中央に金銀霞引き雲紙題簽に「歌合」と墨書、本文とは別筆か。内題「うた合」。厚手上質の鳥の子に1面10行書写、墨付25丁、後遊紙1丁。奥書なし。巻32歌合を写し墨細字の人名注記や勘物があり、本文とは別筆か。朱校合若干。虫損なくきれいな写本だが、表紙は外されたかもしれない。
〇栄花物語の写本は源氏物語に比べてごく少ないものです。
(写本5)貞治6年3月の歌会資料
貞治6年(1367)3月26日歌会の古筆切 1枚 江戸時代初期以前写か
33,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
(形態)鳥の子紙(32・3×13・1㎝)に「春日侍宴同詠花多春友」以下4行書写。「貞治六年三月二十六日歌会」の9番歌(藤原忠光)上句までを書く。貞治六年三月二十六日歌会は島原松平文庫本のみが知られる孤本。極め札なし。
〇後光厳天皇主催、二条良基が重要な役割をはたした歌会の貴重資料です。これまで知られていた松平文庫本は寛文~元禄(1688~1704)の書写とされますので、この切は最古資料かと思います。書風も堂々としており、寸法も大きく、清書本か献上本の印象があります。室町までさかのぼるかもしれませんが、極め札や裏書がなく、専門家にお調べいただいきたいところです。
(写本6)大橋家の将棋伝書
将棋口授秘伝抄 袋綴じ2冊 天保3年(1832)写
6,600円(税込み、送料は実費を頂戴します)
紺色地に輪違いと桜の刷り模様紙表紙(23・6×16・0センチ)外題なし。内題「将棋駒組秘伝抄目録」。やや厚手料紙を用い、1面7行。上冊墨付き42丁、下冊60丁。末尾に「天保三壬辰三月吉日写之、右大橋宗匠家秘鑑ニ而他家無之甚タ秘シテ」の書写奥書。
上冊「平手居飛車四間」~「平手名護屋組」、「二枚落」~平手定石と盤面の図。わずかに虫損あり。
将棋家元の一つ大橋本家の秘伝書で、天保3年当時は第11代宗桂が当主であった。
〇大橋本家の秘伝書で、珍しいと思います。
(写本7)類字名所和歌集抄出
類字名所和歌集抄出 袋綴じ1冊 江戸時代前期写
38,500円(税込、送料は実費を頂戴します)
茶色無地紙表紙(15・0×17・5センチ)は補修時の新補。銀箔散らしの題簽を貼るが、書名記入なし。首尾に遊紙各1丁を置き、墨付き全41丁。本文1面12行、和歌1首2行書。出典は朱にて細字頭書、墨によるイ本注記や校訂あり。虫損は高度な技術で補修済。
元和3年(1617)刊の類字名所和歌集から抄出したものと考えられるが、その親本は元和古活字版とは別のようである。「忘水」から「かささぎ山」(か行の終わり)まで存。出典を朱書する特異な形式やイ本校合等から見て、早い時期に異本が生じていたことが推察できる。慶安2年(1649)刊の類字名所和歌集抜書とは全く別の内容である。か行の末尾は「類字名所」と書きさした反故を転用しており、内題は類字名所□□□であったらしい。
書風は室町時代末期とも見られるほどの能書だが、江戸時代前期の書写とするのが妥当であろう。零本ながら、類似名所和歌集の伝本研究や享受史研究に有用。
○味わい深い古写本です。宮下拓三先生の「もしも、くずし字が読めたなら」(右文書院)はユニークな古典籍入門書ですが、その中で類字名所和歌集抄出のツレについて詳しい調査をしておられます。
(写本8)山本北山旧蔵の八雲口伝その他
八雲口伝・夜の鶴・近来風体抄 袋綴じ1冊 天明7年(1787)写
13,200円(税込、送料は実費を頂戴します)
紺色無地紙表紙(23・4×17・2センチ)外題なし。鳥の子薄様を用い本文1面10行、墨付き全64丁。遊紙なし。天正19年(1591)細川幽斎の本奥書の次に「校合本云」として正保3年(1646)、寛延4年(1751)、宝暦8年(1761)の奥書を写し、最終丁裏に天明7年の「聖護院王府侍衛世古帯剣国栖景雷欽誌」と署名がある。朱のイ本注記、校合等少々。巻頭に「小川寿一蔵書」「山本文庫」の印を押す。わずかな虫損あり。
版本の和歌六部抄を土台として校合本と見合わせたもの。校合本の奥書には版本刊行時より古い年紀が見られ、参考となろう。また旧蔵者小川寿一氏(1907~1993)は国文学や図書館学に貢献した人物であり、山本北山(1752~1812)は江戸時代中期の代表的儒学者である。特に北山のような儒学の大家が和歌の書物を持っていたことは興味深い。
〇丁寧に写されています。「山本文庫」の印はあまり見かけないものです。
(写本9)詞書作者名注記付き百人一首切
詞書作者名注記付き百人一首切 軸装 伝烏丸光広筆 江戸時代前期写
66,000円(税込、送料は実費を頂戴します) 天地退紅色絹地、中廻し鶯色絹地、風帯と一文字は一重蔓金襴。本紙は淡緑地に濃緑の斜め文様鳥の子紙(15・6×18・0センチ)、左端に綴じ穴の痕跡があるので丁の裏面であろう。藤原定家(97)より後鳥羽院(99)作者名までを写す。端裏に「烏丸光広卿正筆」の紙片を貼る。確かに光広風の闊達な書である。詞書を持ち作者名に注記をつける百人一首は極めて珍しく、歌学大系本とは集付の有無において差がある。この種の百人一首としては最も古いものであろう。
〇掛物としても研究資料としても有益です。
(写本10)光明院宸記
光明院宸記 袋綴じ1冊 江戸時代後期写
22,000円(税込、送料は実費を頂戴します)渋引き記録表紙(29・5×20・2㎝)の中央に「光明院宸記 建武四年十二月」の外題。建武4年(延文2年、1337)12月8日より28日の即位式に至る。伝本稀。補修済みだが、裏打ち技術は高くない。
〇光明天皇は南北朝の激動期に即位、複雑な皇位継承を経て上皇となられました。晩年は仏道修行に専念され、長谷寺にて波乱の生涯を閉じられた天皇の日記です。
(写本11)列帖装の源氏物語 野分 行幸
源氏物語 野分 行幸 列帖装1冊 江戸時代前期写
77,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
紺色無地紙表紙(24・5×18・0センチ)外題は藍色地に金泥霞引きの題簽を並べ、「野わき」「みゆき」と墨書。押し発装あり。見返し、本文共紙。巻頭巻末に遊紙各1丁。本文料紙はやや厚手の良質鳥の子で、1面10行、和歌は改行して1字下げ2行書、末尾は直接地の文に続ける。墨付きは野分21丁、行幸30丁。行幸の前に「みゆき」と内題があるのは、比較的珍しい。
書写当初から2帖を1冊に仕立てており、本文は2帖共青表紙本系統である。全巻に朱の句読点、合点、イ本校合あり。合点は典拠のある個所に掛けられている。わずかに虫損があるが、概ね保存良好。
〇江戸時代前期の列帖装写本2帖分ですので、お買い物かと思います。
(写本12)弘治4年書写の延命法
延命法 粘葉装1冊 弘治4年(1558)写
14,300円(税込、送料は実費を頂戴します)
本文共紙の厚手楮紙表紙(17・2×16・2センチ)墨書外題「延命法」、表紙右下に「純政」とあるのは、書写者で所持者でもあった人物の名前。見返しに「師説云(?)叡山依宝思惟訳諸仏集・・・西南院本在之」の墨書。次に内題「延命法」。本文は1面6行の白界(天地13・6センチ、界幅2センチ)を引き、素朴で力強い書風。朱墨の書入れと訓点あり。
高野版に用いられる厚手料紙とよく似た紙質で、後見返しに「文正元年丙戌六月十二日於南上院書畢 権律師祐智」の本奥書と「弘治四年戊午卯月二日於塔坊書写畢 純政」の書写奥書。また「普賢延命」以下11行の張り紙あり。破損と虫損少々。西南院は高野山の別格本山か。
〇500年近い年月を経た古写本です。小破損がありますが味のある仏書だと思います。
(写本13)貞苅伊徳氏旧蔵の古今集
古今集 列帖装1冊 江戸時代前期写
47,300円(税込、送料は実費を頂戴します)
本文共紙表紙(23・1×17・0センチ)、ただし前表紙と仮名序冒頭数丁が欠ける。1面10行、墨付き139丁の厚冊。料紙は厚手の間合紙風鳥の子。奥書はないが、江戸時代前期写の見事な筆跡。
巻末遊紙に旧蔵者貞苅伊徳氏の昭和20年(1945)7月識語があり、それによると深川清蔵氏の厚志により入手、「筆跡美麗也、依而乞而家蔵也、然而仮名序殆無之」とあるので、貞苅氏入手の時点で冒頭に欠落が見られた。本文に脱落はないと思われる。終戦直前に古典籍を求めた熱心さに感心する。
間合紙によく見られる湿損も見られるが、読むのには差し支えない。巻1巻頭に「貞苅蔵書」「羽室蔵」、巻末に「貞苅蔵書」の朱印を押す。貞苅氏は古辞書を中心とする研究者で篤学の人であった。
〇ずっしりと重い写本です。書写者は優れた書き手であったと思われますが、湿損と冒頭の欠けを考慮して、値を押さえました。
(写本14)伝下冷泉持為筆新拾遺集巻1
伝下冷泉持為筆 新拾遺集巻1 巻子本1軸 室町時代前期写 古筆了栄極 木箱入り
231,000円">(税込、送料は実費を頂戴します)
鶯色地に丁子や花を織った緞子表紙(25・9×18・7センチ)外題なし。金銀切箔蒔きの見返しに白紙1枚を置き、その次から本文。鳥の子1紙(幅15・5センチ程度)23枚継ぎで、列帖装冊子本を巻子に改めたもの。軸は黒柿。内題「新拾遺和歌集巻第一」で春上93首分すべてを書写。巻頭に下冷泉持為卿と鑑定した極め札があり、筆跡からみて古筆本家2代了栄と思われる。下冷泉持為(1401~1451)とよく似た筆跡で、同筆かどうか断定しがたいが、同時代の書写であろう。新拾遺集の写本としては天理図書館蔵の残欠本が最も古く、この伝持為本はそれに次ぐもの。ツレは古筆切として珍重される。古い木箱入り。
〇古筆切としても鑑賞価値のある本です。なかなかの能書だと思います。
(写本15)松下集の断簡
伝冷泉為広筆 松下集切 1枚 室町時代後期写
9,900円(税込、送料は実費を頂戴します)
簾目のやや強い楮紙(23・6×15・7センチ)に13行書写。正徹の弟子正広(1412~1493)の家集「松下集」巻5から2304~2310の4首を写す。2307の第4句「神やはあくる」に「けんイ」と傍書があり、珍しい異同であろう。虫損は裏打ち補修済。
紙背に「冷泉殿為広卿 かよふとも(墨印)」の紙片を貼り、その裏にも墨の割り印があるが、読めない。為広筆とは言えないものの、それほど下る書写ではない。松下集は3000首以上を収めた大部の家集だが、古写本に恵まれず、室町時代にまでさかのぼりうる資料はこの切くらいか。
〇個性的な書風です。専門家にお調べ願います。
(写本16)武藤元信旧蔵の范雎蔡沢伝
范雎蔡沢伝 紙縒り綴じ1冊 明治写 6,600円(税込、送料は実費を頂戴します)
厚手無地楮紙表紙(24・4×13・2センチ)外題「范雎蔡沢伝」と墨書。本文1面12行20字、墨付き17丁。全体に朱や紫の書入れが多く、ペン書きもある。巻首に「武藤元信」の丸朱印。史記79范雎蔡沢列伝を丁寧に書写し、論評を加える。枕草子研究で名高い武藤翁の旧蔵。保存良好。
〇きちんと写された本文と大量の書入れに感心します。
(写本17)摂関御伝抄
摂関御伝抄 袋綴じ2冊 正保2年(1645)写 75,600円(税込、送料は実費を頂戴します)
渋引き紙表紙(26・8×18・6センチ)に薄く雲母を引く。雲紙題簽に「摂関御伝抄 上(中下)松永貞徳翁」と墨書。1面8~10行(目録)、12行(本文)。第2冊末尾に書写奥書「正保二年乙酉仲秋写之(花押)」。上巻の1冊と中下巻合写の1冊、全2冊。藤原良房から九条道房までの伝記を載せ、諸家伝の異本と一致する語句がある。外題の松永貞徳翁は、底本の所有者を示すか。もしそうであれば、貞徳に関する新事実であろう。少虫損。書写年次が明瞭であり、内容も有益。神代文字風の朱印と「大瀧清三郎」の墨印あり。
〇伝本は少なく、伝記資料として価値があるでしょう。
(写本18)後西天皇筆古歌巻物
古歌巻物(後西天皇筆) 巻子本1軸 2重箱入り 江戸時代前期写
286,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
金茶地に唐花を織った豪華な緞子表紙(28・5×23・5センチ)外題なし。見返しは金布目紙に菊桐文様と霞引きの金泥下絵料紙を継ぐ。本文は白、藍、黄等の色変わり布目紙に水辺や秋草を金泥で描いた贅沢なものを用い、9紙継ぎで長さ約4m。紙背は間合紙に金箔蒔きで象牙軸の豪華な装丁である。小虫損は高度な技術で補修済だが、巻末に微細な虫損を生じているのが惜しまれる。
神田道伴の極め札に「後西院 御壮年宸筆 むかしたれ」(表)、「巻物九枚 丁未六」(裏)とあり、後西天皇(1637~1685)の自筆資料と比較して、極め通り天皇の筆跡と認められる。後西天皇は和歌、連歌、香道等に秀で、江戸時代の天皇中屈指の文化人であった。晩年の筆跡は枯れた細字が多いが、それ以前は後水尾院に似たやや右肩上がりの勢いのある書風で、極め札の「御壮年宸筆」はこれを指すのであろう。
内容は勅撰集からの抄出で、ゆったりと大らかに書写しており、料紙と共に天皇にふさわしい風格を持っている。出典を示すと、新勅撰58、後撰11、千載131、詞花6、続後撰210、新古今1325、新古今938、新古今662、新古今661、千載758、新古今653、新続古今1915、詞花134の13首であり、三代集が少なく新古今が多いのは後西天皇の好みであろうか。
〇300年以上大切に伝えられてきました。装丁も料紙も筆跡も申し分のない巻物です。
(写本19)古筆家箱書きの豊岡和資懐紙
豊岡和資筆 平兼盛和歌懐紙 1軸 江戸時代後期写
70,400円(税込、送料は実費を頂戴します)
古筆了信箱書きの鹿角軸1幅。天地は金茶色絹地、中廻し松葉色龍文緞子、風帯と一文字は砥の粉色地金襴。本紙は天青地紫の内曇鳥の子(36・0×46・0センチ)の堂々たる大きさで、「天徳四年内裏歌合に 平兼盛 白妙の雪ふるやどの梅がえに今朝鶯の春とつぐなる」と揮毫する。古筆本家13代了信の箱書で、蓋表に「豊岡殿和資卿」、蓋裏に「詠草 天徳四年内裏歌合に平兼盛の歌一首 白妙の 日野家庶流正三位参議に除せられ諸道之達人 筆道は家流を伝ふ 文政年中 古筆了信(朱印)」。豊岡和資(1746~1819)正二位に昇った公卿。上製箱入り。保存良好。
〇大ぶりの立派な軸です。料紙書風とも見栄えがします。
(写本20)扶桑略記
扶桑略記 袋綴じ7冊 宝永2年(1705)写 110,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
(形態)渋引き記録表紙(26・2×18・8センチ)外題なし、押し発装あり。内題「扶桑畧記巻之一(七)」。本文1面9行。奥書「右扶桑畧記旧記也、或僧不知誰人作之由、今只七冊而已、全断絶之由壷井安右衛門云、宝永二年四月廿日 産也子年」。壷井鶴翁の伝を記したペン書きメモあり。第1冊は国史大系本巻20と巻21、以下第2冊=巻22、第3冊=日本紀略による醍醐天皇紀、第4冊=巻24、第5冊=村上天皇天暦3年まで日本紀略による、第6冊=巻25、第7冊=寛仁5年11月11途中より始まる巻28。7冊でまとまっていた親本を書写、使われた日本紀略も国史大系本とは少異がある。善本収集で知られた岡田真の蔵書印あり。少虫損。
〇珍しい本です。書写奥書がしっかりしているのも貴重です。
(写本21)皇統授受図など3作品
皇統授受図・八宗立名同依義・二十四流畧抄 袋綴じ1冊 江戸時代後期写 6,600円(税込、送料は実費を頂戴します)
薄茶色無地紙表紙(26・1×19・3センチ)題簽に「皇統授受図 八宗立名同依義 二十四流畧抄」、その脇に「常光院環中和尚筆」と墨書。墨付きは皇統授受図18丁、八宗立名同依義8丁、二十四流略抄6丁、さらに「八宗立名」1丁を付す。朱の書入れ、朱引、合点等が多い。巻頭に「恵林院」の朱印を押す。「常光院環中和尚」は暦学に詳しかった臨済宗の僧環中(1790~1859)であろうか。
〇恵林院は相国寺の塔頭でしょうか。書写されたものはいずれも版本がないと思います。
(写本22)伝応胤法親王筆の新古今集切
伝応胤法親王筆新古今集切 1枚 室町時代中~後期写
9,900円(税込み、送料は実費を頂戴します)
打ち紙加工の楮紙(23・3×15・7センチ)8行。内題「新古今和謌集巻第二」から始まり春下99と100詞書を記す。新編国歌大観は4行目の下に「を」があり、わずかながら差を見る。古筆家初代了佐(1572~1662)の極め札「梶井殿蜻庵(琴山)」が付く。蜻庵は梶井門跡応胤法親王(1521~1598)の還俗後の名前で、法親王は伏見宮貞敦親王の子。保存良好、極め札の虫損は補修済。
応胤法親王の自筆資料と比較して、別筆と見られる。切の書風は応胤法親王よりも古いと思われ、室町時代中~後期の闊達な筆跡である。
〇大ぶりの冊子から切り出された古筆で、内題から始まるのが見どころの一つです。
(写本23)鉄砲の伝書
鉄炮見籠之図 折帖1冊 元和元年(1615)写
35,200円(
税込、送料は実費を頂戴します)
紺色無地紙表紙(22・8×10・7センチ)朱地金泥下絵題簽に「鉄炮見籠之図 二」と墨書。見返しは銀地に七宝繋ぎを艶刷りする。本文料紙、雲母引き鳥の子。本文4面半、7面、奥書2面半が残る。欠落部分は厚手白紙にて復元修理。最終面に奥書「元和元年 九月吉日 中川四郎右衛門尉吉綱(花押・朱印) 戸田八郎左衛門尉殿」。絵は的、鶴、鹿、人体で、きわめて精彩に富む。鉄砲伝書の絵は稚拙で類型化したものが多く、この本のように見ごたえのあるものは少ない。補修技術は秀抜。
〇珍しい伝書です。残欠ながら高度の技術で修復しています。
(写本24)宕陰文稿
宕陰文稿 袋綴じ1冊 幕末~明治写
7,700円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色紙表紙(23・1×15・9センチ)菊桐文様の色刷り題簽に「宕陰文稿 日光紀游」と墨書。本文1面10行20字、朱墨の句読と書入れあり。塩谷宕陰の著述としては「宕陰存稿」があるが「文稿」はなかなか見当たらない。内容は、日光紀游、蒲生氏郷伝、高山正之蒲生秀実伝、北条義時論、織田右府論、海屋記、学術世変論、こう(心に兼)堂松崎先生行述、澹斎長沼先生伝、葆賜あん記、夏誦記、経誼館掲示で全52丁。奥書なし。「宇井氏蔵?記」の蔵書印。小虫損ほぼ全て繕い済み。
〇塩谷宕陰(1809~1867)と同時代の写本でしょう。珍しいと思います。
(写本25)神祇道服忌令
神祇道服忌令 袋綴じ1冊 享和4年(1804) 本山彦一旧蔵 8,800円(税込、送料は実費を頂戴します)
灰色無地紙表紙(26・5×18・7センチ)墨書外題「神祇道服忌令」、内題同じ。本文1面11行、漢字平仮名交じり。第10丁に「右服忌令、吉田二位殿御本ヲ申請・・・慶安三年臘月吉辰 黒(?)玄旨 入江惣十郎殿参」の本奥書。後ろ見返し「享和四甲子年三月写之」とある。よく似た「神祇道服紀令」の慶安元年、寛文5年等の版本とは別内容。巻頭に「本山文庫」の朱印。小虫損あり。
〇大阪毎日新聞社社長の本山彦一氏の旧蔵。珍しいと思います。
(写本26)しみのすみか物語
しみのすみか物語 袋綴じ2冊 幕末~明治写
5,500円(税込、送料は実費を頂戴します)
薄茶色絹表紙(22・8×15・2センチ)子持ち枠題簽を貼るが書名記入なし。各冊前後に遊紙1丁、本文1面11行(序7行、目録9行)漢字平仮名交じり。墨付き上巻35丁、下32丁。「穂積蔵書」の朱印あり。上巻巻頭に石川雅望と享和2年(1802)大村越南の序、奥書なし。狂歌、読み本にも業績を残した多才の国学者石川雅望の戯文集で、軽妙な文体が特徴。微細な虫損は繕い済み。保存良好。
〇版本によったものと思われますが、きわめて丁寧に写されています。
(写本27)宮官考(新井白石)の善本
宮官考 袋綴じ1冊 江戸時代後期写
19,800円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色地に松皮菱を艶刷りした紙表紙(27・2×18・6センチ)、外題剥落。内題「宮官考 新井筑後守源君美著」、本文1面9行漢字平仮名交じり、奥書なし。墨付き11丁。「宮官考」の署名を持つ伝本は極稀、新井白石全集第6巻所収「准后考」と同内容だが、全集本では「諸臣并法中」の次に欠文がある。この本は完全な本文を持ち、他にも全集本より勝る個所がある。丁寧な書写で虫損なし。「培達堂」「菅譜蔵之」「大窪氏」等の朱印あり。江戸の本屋大窪菅譜旧蔵。
〇稀本にして善本、いい筆跡です。
(写本28)霊元院の仙洞御会和歌
宝永8年仙洞和歌御会 袋綴じ1冊 江戸時代中期写
22,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
渋引き記録表紙(22・9×16・9センチ)外題「卯之 年中御月次和歌」。本文1面11行、墨付き全53丁。「宝永八年正月十四日仙洞御月次 祇園社御法楽」から6月25日公宴聖廟御法楽までの御会和歌の記録。奥書はないが宝永8年(正徳元年、1711)からあまり隔たらないころの書写とみられる。能書の公家が写したものであろう。烏丸光栄、武者小路実陰、冷泉為久らの名が見え、霊元院歌壇研究の好資料。虫損はほぼすべて補修済。伝本稀。
〇高松宮旧蔵の「仙洞和歌御会」の一部分と重なる内容かもしれません。
(写本29)二条康道筆詠歌大概
詠歌大概 列帖装1冊 江戸時代前期写 帙入り
66,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
(形態)藍色地に金箔蒔き下絵装飾の紙表紙(24・8×18・0センチ)金泥下絵外題「詠歌大概」。厚手の斐紙に本文1面8行、墨付き全16丁。奥書はないが最終丁に「詠歌大概一冊 二条康道公正筆」の極め書きを貼る。極め通り二条康道(1607~1666)の筆跡とみられる。従一位摂政、能書。本文は真名本で秀歌之体大略は作者名を記す。錯簡があるが内容は103首完全。わずかに虫損あり。
〇装丁筆跡共に美しい本。高位の公卿が揮毫しています。
(写本30)松平定信の随筆「関の秋風」
関の秋風 横本1冊 江戸時代後期写
8,800円(税込、送料は実費を頂戴します) (形態)薄緑色の石目模様刷り紙表紙(20・4×14・9センチ)墨書外題「関の秋風」。扉に「白川公御作 関の秋風」。本文1面14行、墨付き26丁。末尾に「あめあきらかなる五つの年きさらぎの半ばにしるしとゞめぬ 右一冊白川侯の御筆記也」の墨書と「玉木維斎」「士美」の朱印あり。虫損はほぼ補修済みだが少し虫穴が残る。天明5年(1785)成立の随筆で、枕草子の影響が見られる。随筆大成本とは処々に異同があり、たとえば「かずかずに侍りて」(大成)は「かずかずみ侍りて」(この本)が正しいであろう。
〇幕政と文化事業に大功績のあった松平定信の随筆で、青年期の著作です。玉木維斎は神道家でしょうか。
(その他1)中本のチリメン本Japanese Life
Japanese Pictures of Japanese LIfe 結び綴じ1冊 明治28年(1895)長谷川武次郎刊
49,800円(税込、送料は実費を頂戴します)
チリメン本特有のクレープペーパーを用い席画揮毫中の絵師を描いた表紙(19・2×14・7センチ)絹糸の結び綴じ。タイトルは「Japanese Pictures of Japanese Life」。見返しは扇絵、標題紙に目録を刷る。表紙共8丁16頁。後ろ見返しに「明治二十八年五月一日印刷 同月七日発行」以下刊行者の長谷川武次郎名と住所等を印刷する。高札の意匠を用いた奥付であり、洒落た趣向となっている。
小型本が多いチリメン本だが、これは中型本で数が少ない。刷り保存ともに極めて良好。
〇美しい仕上がりで状態も申し分ありません。
(その他2)棚物集成
棚物集成 A4版帙入り 昭和55年(1983)アロー・アート・ワークス刊 29.700円(税込、送料は実費を頂戴します)
A4大判(31・5×22・0センチ)を帙に入れ、ダンボール箱に納める。保存極良好。昭和8年中山商会刊の元版を復刻、別冊解説付きで図版印刷も元版のコロタイプとそれほど違わない出来である。美術工芸・茶道具の基本資料として評価が高い。定価75,000円。
〇よく出来た復刻版です。美本。
(その他3)チリメン本 俵藤太
チリメン本俵藤太 絹糸結び綴じ1冊 大正10年(1921)刊
26,400円(税込、送料は実費を頂戴します)
(形態)チリメン加工多色木版刷り表紙(15・2×10・2センチ)
タイトル JAPANESE FAIRY TALE SERIES NO.15 MY LOAD BAG-O’-RICE 見返しに「日本昔噺第十五号 俵藤太 明治廿年十月五日第一版発行 大正十年十月一日第十五版印刷」以下の刊記があり、チャムバレン訳、長谷川武次郎刊。表紙とも全11丁、各丁に繊細な絵あり。
絵は当時著名の画家であった鈴木華邨が手がけ、釣り鐘の銘の形で署名を入れる工夫がおもしろい(表紙から数えて9丁目)。後ろ表紙は龍宮からの手紙をデザインして発行者の名を入れる。龍文切手を模した龍神切手も凝ったものである。ほとんど痛みのない保存のよい本。
〇絵の良さとしゃれた本作りが魅力です。
(その他4)富岡鉄斎跋の波紋集
波紋集 袋綴じ3冊 帙入り 明治33元版・昭和50年(1975)再刊
19,800円(税込、送料は実費を頂戴します)
藍色無地紙表紙(24・3×16・2センチ)子持ち枠刷り外題「波紋集 上(中・下)」。版心「波紋集 芸艸堂蔵版」。下冊末に「後序 故寛斎翁嗣子雄山・・・明治丗三年九月 鉄斎外史」の跋。帙に「昭和五十年五月十五日重版」以下の奥付を貼る。保存良好。
〇木版を用いた刷りましです。刊行時はかなりの高価でした。
(その他5)綾錦 巻8
綾錦 特大判結び綴じ1冊 帙入り 大正10年(1921)10月刊
88,000円(税込、送料は実費を頂戴します)
薄茶色地に花と書名「綾錦」を織った絹表紙(44・0×30・3センチ)を金糸折込の豪華な平紐で綴じる。序3丁の次に目次があり、目次は空押しで行分け。内容は更紗を中心とした図録で、全50点をほぼ原寸大に掲げる。うち30点は細緻な多色刷り木版、20点はコロタイプ版である。根津嘉一郎所蔵品が多く、布製品の痛みが早く進行することを考えれば、100年前の状態を記録する「綾錦」は学術資料として貴重であろう。大正10年10月刊行の奥付、編者は西陣織物館、山田直三郎発行。近代出版中有数の豪華本で、全10巻のうち第8巻。絹張の帙入りだがやや破損あり。
〇表紙から色刷り木版まで、見ごたえ十分の大型本です。
(その他6)明治時代の学生募集冊子
京華中学校規則 仮綴じ1冊 明治30年(1897)頃刊
2,750円(税込、送料は実費を頂戴します)
洋紙仮綴じ(18・8×12・9センチ)表紙に梅花の飾り枠に「京華中学校規則 東京市本郷区龍岡町 京華中学校」と印刷。「京華尋常中学校在学生徒資金取扱規則」「創立の理」以下「広告」まで全14ページ。「創立の理」は明治30年7月9日の日付。創立まもなくの募集資料であろう。後の版は増ページとなる。中学校の講師に本多光太郎、根本通明、井上円了らの著名人がいる。現在の京華中学高等学校の前進であり、創立者は磯江潤とされるが(同校のホームページ)校長は津田真道となっている。印刷保存ともに良好。
〇学校創立期の資料が一世紀以上経過して綺麗に残っているのは驚きです。
(その他7)保存のよい団団珍聞
団団珍聞 未装丁1冊 明治19年(1886)刊
3,300円(税込み、送料は実費を頂戴します)
洋紙にインク刷りの表紙(24・6×18・1センチ)、絵は銅版のように見えるが木版であり、銅版を模して精緻に刻した技術には驚かされる。英語のタイトルJAPANESE COMIC PAPER、「於東京絵」には「おどけゑ」のふりがなあり。表紙も含め全20ページで、うち絵3ページ。社説ならぬ「洒蛙説(しゃあせつ)」や珍報、都々逸など、文明開化時代の社会風俗の面白い資料である。合冊製本されず刊行時のままの形で残っており、保存良好。
〇世態風俗を軽妙に記録した資料で、パリッとした表紙に好感が持てます。
(その他8)上野三碑の拓本複製
山ノ上碑・金井沢碑拓本複製 各1鋪と解説 昭和60年(1985)頃刊
2,200円(税込、送料は実費を頂戴します)
厚手和紙に複製した山ノ上碑(97・5×34・5センチ)と金井沢碑(98・0×68・0センチ)の拓本。山ノ上碑は天武天皇9年(680)、金井沢碑は神亀3年(726)の建立で、いずれも古代の素朴な書風を伝えている。上野三碑としてよく知られたもののうちの2点(あと1点は多胡碑)。古代史、書道史などの基礎資料である。高崎市教育委員会の解説が付き、元袋に納める。保存良好。
〇古拙な味わいのある拓本複製です。原寸大ですので迫力満点。
(その他9)李方膺と鄭板橋の書画冊
李方膺墨竹冊 大型折本1冊 1980年頃刊
39,600円(税込、送料は実費を頂戴します)
淡緑色地に宝尽くし文様を織った重厚な緞子表紙(32・7×48・7センチ)題簽「李方膺墨竹冊」。上質の厚手料紙に中国伝統の木版水印の技術により、カスレやぼかしまで模刻する。奥付はないが紙包みに栄宝斎の店名が印刷されるので、北京瑠璃廠の老舗が出版したと思われる。絵は李方膺、書は鄭板橋。ともに揚州八怪と言われた特異な文人である。全10丁。刷り良好。
〇中国がまだ成長期ではなかった頃にこれほどの豪華出版が行われたことや、伝統的な木版模刻技術が生きていたことに感心します。